経済・トレンド

増えるナシ婚の裏にある「未婚者のホンネ」

2018/11/30 19:10


参列経験がなく結婚式のイメージができない人もいるとか(提供:ベスト-アニバーサリー)


 バブル時代に流行した「ハデ婚」から一転、長引く不況と晩婚化の進行から主流となった「ジミ婚」、さらに近年は、結婚式を挙げない「ナシ婚」が増加するなどの傾向がみられるウエディング市場。その一方で、アットホームな雰囲気のハウスウエディングが人気となり取り扱う企業が増えたり、結婚式を控えた花嫁がインスタグラムなどSNSを利用して結婚式の情報収集を行う「プレ花嫁活動」がネットを中心に話題になるなど、新たな展開も生まれている。果たしてイマドキの未婚者の結婚式に対するホンネとは。

お話しを伺った「楽婚」の塚田健斗社長

■未婚者のホンネ「結婚式はお金がかかる」

 人生のなかで一大イベントのひとつである結婚式。国立社会保障・人口問題研究所が5年に1度実施する「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)報告書」(2015年度)によると、結婚意思のある18~35歳の未婚者に、1年以内に結婚するとしたら何か障害となることがあるかを尋ねたところ、男女とも、前回調査(2010年度)と同様に「結婚資金」が第1位となった。そんななか台頭してきたのが、低予算でも理想的な結婚式が挙げられる“格安ウエディング”だ。

■楽婚の事業モデル 後払いができる“ご祝儀払い”

 オリコン顧客満足度調査にて2年連続1位を獲得している「楽婚」を運営するベスト-アニバーサリーは、この格安ウエディングというジャンルに8年前から参入しており、事業モデルのひとつとして後払いができるご祝儀払いプランを打ち出している。塚田健斗代表取締役社長はナシ婚に対し、想いを語る。「金銭的な理由で結婚式ができないというのは、我々のような婚礼に関わる会社にとって、非常に心苦しいことですので、貯金が足りないお客様でも結婚式が挙げられるように、提案をさせていただいています」。

 実際のところ、Webサイトを見てから店舗に来て、一度は諦めていた結婚式を挙げることに決めたカップルは多いとのこと。さらに、迷っている人に対しては実例を紹介しながら結婚式を挙げるメリットを伝えると、「楽しそうですね」「やった方が親は喜びますね」など、考え方が変化するケースもよくあるという。

■未婚者のホンネ「旧来の結婚式には興味がない」

 塚田氏は、ナシ婚の背景には「旧来の結婚式には興味がないという人が増えたこともある」と分析する。「世代が変わり、新郎新婦様はもちろん、親御様の考え方も変わってきている状況で、和か洋か、国内外かだけでなく“これならやってみたい”と思えるような新しい感覚の結婚式スタイルがなかったのだと思います。似たような会場やプランで何が違うかわからないし、やりたいと思う結婚式がない、という声は多数聞きました」(塚田氏/以下同)。

 さらに、塚田氏によると「当社の新入社員でも、結婚式に参列した経験がない人が6~7割います。つまり、結婚式をイメージできない若い方がたくさんいらっしゃるということです」。今の若い人にとって結婚式は、お金がかかるというイメージがあり、なおかつ何をやるのか想像できないのだ。ナシ婚が選択されるようになったのは、やむを得ないことかもしれない。

昔も今も時代の変化は「女性の意識」とともに


 時代の変化とともに変わっているのが女性の意識だ。塚田氏が会社創設当初の時代背景について語る。「楽婚がスタートする以前の話になりますが、当社は約20年前、ゲストハウスウエディングからスタートしました。当時はちょうど女性の社会進出が活発になり、女性が自らの願望を言えるようになった時代。そのときに、女性たちにどんな結婚式が望まれているのかを考えて打ち出した新しい結婚式のスタイルが貸し切り型の邸宅ウエディングでした。現在はそこからさらにまた時代が変わり、女性たちの憧れる結婚式のスタイルが多種多様になっていると実感しています」。

 多種多様なスタイルと塚田氏が語っていたが、最近は結婚式を控えたプレ花嫁たちが、SNSで結婚式を終えた卒花嫁たちから情報を収集している。いつの時代も“新鮮なイメージの趣向を自分好みの形で実現したい”という気持ち、ホンネの表れなのだろう。

■プランはイメージではなく“リアル”を求める

 さらに、婚礼会社に対しても、これまでのように結婚式のプランをイメージ先行で打ち出すのではなく、より“リアル”を提示することが求められているようだ。楽婚のウェブサイトでは、結婚式当日を具体的に思い描けるよう、実例をあげて写真とともに内容を紹介し、最終見積もりとご祝儀費用、自己負担金を紹介している。

 「イメージも大変大事ですが、『で、何ができるの? いくらかかるの?』というのがお客様の一番知りたいことだと思います。ですから、自分が興味をもったあの会場はこの値段でできるだとか、こういうことをするとこれくらいの金額になるのかなど、具体例と金額を載せることで、結婚式を身近に、よりリアルに考えていただけるようにしています」。

 インターネットが一般に普及してから約20年。子どもの頃からインターネットが近くにあった人たちは、おいしい店やデートコースも、テレビや雑誌よりSNSなどの口コミ情報を参考にする。そんな世代が結婚適齢期を迎えた今、ウエディング業界も従来のスタイルや価値観を一方的に押し付けるのではユーザーには響かない。今の若者は、実際のところ結婚式の何に最も価値をおいているのか、若い世代の“ホンネ”をどれだけ把握することができるかが勝負の分かれ目ということだろう。

(文:河上いつ子)
記事提供:オリコンNewS
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