08/04 17:20

座骨神経痛で右足に大きな不安があったが藤田は出場した。
「日本最高記録保持者のプライド」だったという。
2時間18分23秒の12位。
「日本人4位だし、駄目。
あれだけ期待されたのに…」。
目の周りが赤かった。
昨年12月の福岡国際で2時間6分51秒の日本最高をマーク。
日本のエースの自覚を持って、順調に走り込んだが、1カ月ほど前、右足が異常を訴えた。
背骨の神経が圧迫され、時折、接地で腰からカクンと抜けてジョギングもままならないほどだった。
はり治療などで状態は良くなったが、レース前日に最終調整として行ってきた1000メートルを、今回は初めて1時間のジョギングに切り替え、力を温存した。
左足の痛みを押して6位入賞した前回セビリア大会同様、痛み止めも服用した。
「棄権では次につながらない。
どんな順位でも受け入れる」と競技場を飛び出したが、22キロから26キロまでの急坂を下り切ったあと、上位争いから後退。
「最後の1カ月で追い込めず、スピードの変化に対応できなかった」と唇をかんだ。
過去3度のマラソンでは失敗がなかったが「初めて(上位を)外したし、次にまたチャレンジしたい。
惨敗はいい経験」ととらえた。
次のマラソンは来年秋のベルリンかシカゴを希望。
この日の苦い思いを糧に、アテネ五輪の期待の星は再起を期した。

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