08/07 11:20

少しでも前へ出ようとするように、最後は胸を突き出した。
だが、差は埋まらない。
隣のレーンのピンツセビッチが両腕を挙げ、女子100メートル決勝で42連勝していたジョーンズが、4年ぶりに敗者となった。
両手をひざについて上体をかがめ、呼吸を整えてから勝者を祝福した。
「もちろんがっかりしている。
勝つつもりだったけど、きょうは彼女の方がいい走りをした。
スポーツでは負けることもある」敗れても優等生の受け答えは変わらない。
表情にもほとんど悔しさを示さなかった。
ただ表彰式の後、カメラに向かって銀色のメダルを掲げたときに整った顔が少しゆがんだ。
スタートでの差がそのまま、フィニッシュでの100分の3秒差となった。
反応時間はピンツセビッチの0秒123に対し、ジョーンズは0秒146。
中盤からの加速で逆転するのがいつものパターンだが、この日はほとんど差を縮められなかった。
嫌な予感は準決勝からあった。
やはり隣のレーンを走ったピンツセビッチにリードを許し、最後はもがくような走りで2着。
「準決勝の後はしっかり休めたし、足もシャープだった」と言ったが、頭に残る悪いイメージが中盤の走りを硬くしたのかもしれない。
シドニー五輪中に薬物違反が発覚した元砲丸投げ選手で夫のC・J・ハンター氏(米国)とは別居中。
私生活でも逆風の女王は「今晩は眠れないかもしれないけど、200メートルで気合を入れる」と闘志をかき立てた。
(共同)
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