08/07 15:43

陸上界でかねてドーピング(薬物使用)隠ぺい疑惑をささやかれてきた米国が矢面に立っている。
昨秋のシドニー五輪前のドーピング検査で、筋肉増強剤に陽性反応を示した米国選手が、五輪に出場していたことが分かったためだ。
違反を隠して出場した選手名は依然、公表されていない。
さらに同五輪前には、薬物違反した男子砲丸投げ前世界王者のC・J・ハンター(米国)が隠ぺい工作したことも明らかになった。
国際陸連(IAAF)のルングクビスト医事委員長は「これで米国陸連が正しい報告をしていなかったことが証明された」と不信感を募らせている。
訴訟社会の米国では、公表した検査結果が覆ると巨額の損害賠償裁判に発展する恐れがある。
さらにプライバシー保護を理由に米国陸連は事実の報告さえ渋っていた。
だが今回は国際オリンピック委員会(IOC)も、米国に疑惑解明を求めている。
世界選手権を視察したロゲ新会長は「IOCとしても米国オリンピック委員会(USOC)に説明を要請する」と述べた。
米国の陸上界は、人気選手のスキャンダルを嫌う五輪のスポンサー企業に配慮して、組織ぐるみで薬物違反をもみ消しているのではとの疑念が、実は1980年代からあった。
真相解明を求める外圧にどう答えるかが注目される。
(エドモントン共同)
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