08/09 16:10

残り100メートルでカマティに出られると、もう追う力は残っていないようだった。
ゴール前で練習パートナーのメズゲブにも抜かれ3位。
男子長距離で圧倒的な強さを誇ったゲブレシラシエの連勝は37で止まり、1万メートルの大会連覇は4で途切れた。
シドニー五輪で連続金メダルを獲得後、右足かかとの手術を受けた。
昨年いっぱい練習を休み、今季初のレースが今大会。
途中の位置取りで集団の中程まで下がるなど、本来の巧者ぶりが影を潜めていた。
足腰の筋力も、実戦に対応できていなかったのだろう。
レース後は右足を引きずり、その理由を「ペースが速くなったり、遅くなったりしているうちに、ふくらはぎがけいれんしかけた」と説明した。
だが28歳のエチオピアの英雄は、敗戦にも強気だった。
「(カマティが)ラスト100メートルであれほど速く走るとは思わなかった。
来ているのが見えなかった。
自分の計算ミス。
最後まで勝つ自信はあった」レース前もにこやかな表情を浮かべ「スマイリング・レジェンド(笑う名選手)」と表現される印象的な笑顔もいつも通り。
記者会見で司会者から「まるで勝ったように笑ってるね」と言われるほど、失望の色は見せなかった。
ただ王座転落で、闘争心に火が付いたよう。
今後はマラソンに転向する予定だが「負けたままで1万メートルをやめるのは良くない」と言い、2年後の世界選手権でまた1万メートルに出場することを明言した。

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