08/09 11:45

170センチ、67キロの小さな体。
大会の公式資料に「男子400メートル障害史上、最も小さな世界トップ選手の一人」と記されている為末が、準決勝で48秒10の日本記録をマークし決勝進出。
でっかいことをやってのけた。
「前半からぶっ飛ばすつもり。
3台目ぐらいまでは覚えていない」。
スタートから勢いよく飛び出し、トップ争いを展開。
6台目での13歩から14歩へのハードル間の歩数の切り替えもスムーズで、2着でゴールを駆け抜けた。
「きょうはバックストレートの風が向かっていた。
もう少し条件が良ければ47秒台も出たと思う。
記録より、ファイナルの名誉の方が大きい」と喜びをかみしめた。
走力がものをいう400メートルと違い、その間に10台のハードルを跳ぶこの種目は、ハードリング、障害間の歩数の切り替えの巧みさがあれば、日本人でも世界に通用する。
だが為末のスタンスはやや異なる。
「ハードル練習以上に走ることで得られるものが多い。
きれいにまとまるより、多少は粗っぽいところを残したほうがいい」。
この冬には400メートルの小坂田淳(大阪ガス)を相手に、絶対的なスピードを磨いた。
それが7月の48秒38の自己記録更新につながり、自信を深めていた。
昨年のシドニー五輪では冷静さを失い、転倒して予選落ち。
だが今季は欧州遠征でもまれ、経験を積んできた。
準決勝の記録は全体の2番目。
期待は膨らむ。
「準決勝では多分、僕が1番力を使った。
ただ初めから負け犬レースはしたくないし、メダルを狙う」。
積極的なレースで、新たな歴史を築こうとしている。
(共同)
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