アジアカップ

決勝
日本 1-0 サウジ
(試合終了)

前半30分
望月ゴール!!
日本 1-0 サウジ

試合終了と同時に、ばたばたと崩れ落ちた失意のサウジアラビア選手を横目に、日本選手は静かに抱き合って肩をたたき、 淡々と喜びを分かち合った。大会初戦から圧倒的な強さを見せつけた日本が、最後の最後に苦しみ抜いて2度目の栄冠。安ど感がどっと押し寄せたのかもしれない。「それにしても、きつかった」という森岡主将の言葉が、試合のすべてを物語っていた。連覇と史上最多の4度目の優勝が懸かるサウジは 、日本が初戦(14日)で4−1と撃破したチームとは一変していた。 鋭い速攻が復活し 、初戦の雪辱に燃える意気込みもひしひしと伝わった 。受け身になった日本は早くも前半10分、PKを与えてピンチを迎える。サウジの前線へのロングボールを森岡が胸でGK川口にバックパス 。これを猛然と駆け上がってきたメシャルにさらわれ 、追走した望月が倒してしまった。 ところが、イドリスのキックはポスト左に外れ、流れは変わった。29分に左FKを中村がゴール前へ送ると、その望月が飛び込んで、ネットを揺らした。  後半は、サウジが猛反撃を繰り出したが、GK川口の美技もあって1点を死守。トルシエ監督は「厳しい 1−0の試合を、しのいで勝った。 これは大きい」と選手の成長に目を細めた。 24日の準々決勝イラク戦。決勝トーナメント最初の試合を前にしたミーティングで、 監督は大きな絵を 描いた。左から右 に一本の線。線の上には大きなカップ。そしてこう言った。 「線の上は世界、下がアジアだ。カップを取れば、世界のトップ20に近づける。この大会に勝たないと 、アジアの一員としてしか見てもらえない。絶対にカップを持って帰ろう。おまえたちがやらなければならないんだ」 最後まで、組織的なパスワークと個々の発想がミックスされた攻撃的 サッカーを貫徹し、この檄(げき)にこたえた。初戦の快勝を機に、だれもが認めるエース中田(ローマ)の不参加は、話題にも上らなくなった。中東で開催されたアジアカップで東アジアのチームが優勝したのも、12回の大会史上初めてである。 それが、日本の躍進を如実に象徴している。日本は2002年ワールドカップ(W杯)に向けた強化を実らせ、アジアの壁を突き破った。
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