アイルランドのロイ・キーン

世界のサッカー界で「闘将」という言葉は、ロイ・キーン(30)だけにしか使いたくない。
万能のMFは、決して強国とは言えないアイルランドを、王者マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を、ともに強烈なリーダーシップでぐいぐい引っ張る。
180センチ、77キロ。
風ぼうからいかつい。
強い意志は顔に表れ、くぼんだ眼光が鋭い。
ピッチ上でその存在感はさらに増す。
マンチェスターUのファーガソン監督は「ロールスロイス車のエンジン」、イタリアの名将、ユベントスのリッピ監督は「ハートビート(鼓動)」と表現する。
その例え通り、とにかく精力的に動き回る。
ボールとともにその姿はある。
危険な局面を的確なカバーで防いだかと思うと、時には絶妙な間合いで前線に飛び出して得点機にも絡む。
強豪のポルトガル、オランダと同じ欧州2組に入ったワールドカップ(W杯)予選でも要所での働きが際立った。
ホームのポルトガル戦は貴重な先制ゴールで1-1の引き分け。
退場者を出したオランダ戦では闘志の固まりとなってチームを鼓舞し続けた。
結局1-0で粘り切り、プレーオフ進出を決めた。
アイルランドにとって“主将"の力は計り知れなかった。
ただ現在は戦列を離れている。
4月2日の欧州チャンピオンズリーグ、ラコルニャ戦(スペイン)で太ももに肉離れを起こした。
当初はW杯出場も懸念されたが、診断は全治4週間から6週間。
ファーガソン監督もこう保証する。
「フィットした状態でW杯は迎えられるだろう」
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