競技場揺るがす存在感
不屈のストライカー中山

チーム最年長の34歳、長年の選手生活で、肉体は満身創痍(そうい)だ。それでも、その"魂"を再び求められる時が来た。「何度倒されてもはい上がって、気持ちだけは負けずに戦いたい」。不屈のストライカー、中山雅史(磐田)の顔つきは使命感に燃え、一段と厳しさを増している。
体脂肪率は約6%。磐田の体力テストでも、ここ数年、15項目すべてでトップレベルを維持している。ただ、今季序盤はJリーグで臀部(でんぶ)を痛め、プレーに精彩を欠いた。
トラップミス、鈍い動き出し、力のないシュート。代表からも遠ざかり、一部で「限界説」もささやかれる中、「練習しかない」とオーバーワークぎりぎりのところまで自己鍛錬に没頭してきた。土壇場の代表入りは、彼の生きざまそのものでもある。
「自分を表現できる最高の舞台」というワールドカップ(W杯)には忘れ物がある。4年前のフランス大会はジャマイカ戦で日本人初ゴール。しかし「満足感はゼロ。それ以上に、自分を客観視できる冷静なプレーができなかった」。そのときの歯がゆい思いが今でもエネルギーの源という。
「彼は30歳を過ぎてから上達した努力の天才」とは磐田の荒田忠典顧問。昨年6月のコンフェデレーションズカップは、中山がピッチに入ると、スタジアムが熱狂で揺れ、試合の流れを変える「切り札」として威力を発揮した。代表47試合21得点。W杯では、日本中のファンが「ゴン・ゴール」を後押しする。

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