ここ一番で相手止める
体張った守りの戸田

喜怒哀楽の「怒」がパワーの源という戸田和幸(清水)は、涼しい顔で不敵なコメントを口にする。「守り? 相手に抜かれたら、けっ飛ばしてやればいいんです。戦えなくなったらサッカー選手として終わりですから」。守備的MFに定着した24歳は、今や日本の中盤に不可欠な存在だ。
局面を打開するドリブルや柔らかなパスは持ち合わせていない。しかし、ここ一番で体を投げ出して相手の突破を止め、攻撃の芽を摘む戦術眼に絶対の自信を持つ。「ヒデさん(中田英)や伸二(小野)のように前で勝負できる選手を輝かせるのが僕の役割」。引き立て役も心得たものだ。
そんな戦う男が心待ちにしていた7日のレアル・マドリード戦後、潔く完敗を認めた。「悔しさしかわかない。ファウル(反則)するのも難しいくらいだった」。土砂降りのピッチでも器用にパスをつなぐ相手。フラット3の生命線となる中盤のプレスで後手を踏む世界レベルを体感した。
神奈川・桐蔭学園高から清水に入団した1996年は左サイドバック。以降はストッパー中心となり、昨春から守備的MFへ転向し、代表への道も開けた。「今は自分がどこまで伸びるか楽しみ」と急速に力を付けたポジションに喜びを見いだし、中盤でこぼれ球を拾う感覚を磨いている。
ワールドカップ(W杯)は「人生を懸ける価値のある大会」。シドニー五輪は逃したが、居残り練習に明け暮れた日々が実を結んだ。好きな選手はアイルランドのロイ・キーン。W杯でも泥にまみれ、荒々しく戦うつもりだ。(田村崇)
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