06/10 00:57

とうとう1勝をもぎ取った--。
1次リーグ突破に向けた決戦の場、9日の横浜国際総合競技場。
客席を埋めた青いサポーターが総立ちで跳びはねる。
雄たけびを上げ抱き合う選手たち。
割れるような拍手と地鳴りのような歓喜のニッポンコールで、スタジアムが揺れた。
残り時間が少なくなる。
守備を後押しするように応援歌と手拍子。
6万6000人のスタンドは総立ちとなった。
四方から「ニッポンコール」がこだまする。
リズムに合わせて無数の腕が突き上げられた。
ロスタイム。
懸命のクリアでピッチの外に転がり出たボールを戸田和幸選手が両手で大事そうに取り上げる。
その直後、笛が鳴った。
小野伸二選手がベンチから飛び出し、中田英寿選手を目がけて猛ダッシュ、思いっきり抱きついた。
「みんなで勝ち取った勝利。
僕たちにとって使命であって驚きではない」と中田選手は穏やかな笑みだ。
ピッチのそこここに歓喜の輪。
トルシエ監督は満足した様子で一人ひとりの選手を抱きしめた。
東京都品川区の会社員山口淳さん(40)は「万歳」を繰り返す。
「W杯の日本戦で初めて万歳ができたー」興奮に声が震える。
この日のスタジアムは日本がボールを奪う度に、「ウォー」と期待を込めた歓声が沸いた。
稲本潤一選手がゴールを決めると興奮は最高潮に。
小泉純一郎首相も上半身を乗り出し、笑顔でメガホンをたたく。
スタンドには日韓親善大使のタレント藤原紀香さんと韓国の女優キム・ユンジンさんも。
青いユニホーム姿で並んで声援を送り、チャンスでは太鼓をたたいて応援。
華やかな雰囲気を添えた。
タレントの木村拓哉さんと工藤静香さん夫婦も姿を見せ、周りの観客の大歓声にガッツポーズで応えた。
決勝トーナメントへ大きく前進。
すべては14日の大阪・長居陸上競技場で決まる。
なにわの街は“大一番"を前に早くもヒートアップ。
ミナミの繁華街、道頓堀では若者約130人が橋の上から川に飛び込んだ。
道頓堀の中心、戎橋は興奮したサポーターらで立すいの余地もない。
若者が歓声を上げたり、ビール掛けを始め、警察が急きょ橋を通行止めにした。

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