06/10 18:47

「一緒に決勝トーナメントに行こうよ」と熱いエールを交換する日韓のサポーター。
日韓共催のサッカーのワールドカップ(W杯)は9日の日本-ロシア戦で韓国人が日本の初勝利を祝い、10日の韓国-米国戦では「大韓民国」と日本の若者が連呼した。
結果は仲良く1勝1分け。
日韓の躍進で、新世代のサポーターに連帯感が広がっている。
かつてサッカーの対日本戦となると対抗意識むき出しだった韓国。
在日韓国人が接着剤となり、日韓の市民が加わった「KJクラブ」が草分けの共同応援は、今大会で個人レベルへと広がり、日韓のサポーターの新しい流れをつくった。
「きのうの日本はすばらしかった。
きょうは韓国ががんばるぞ」と、応援Tシャツで真っ赤に染まった大邱総合競技場でサポーター。
名古屋市の会社員、服部吉和さん(40)は韓国人の妻、尹京子さん(41)と一緒に「日韓共同で応援します」と笑みを浮かべた。
こうしたエール交換の背景には、植民地支配など過去の歴史を背負い、日本を過剰に意識する世代と違い、日本を「普通の外国」ととらえる若者が増えているという変化がある。
「最近はもう日本語はやめちゃった。
今は中国語に挑戦してるの」と女子大生の徐賢玉さん(22)。
ソウルの学生街、新村には徐さんのような「転向組」の学生が増えている。
日本語から中国語に衣替えする語学学校も目立つ。
金大中政権による日本の大衆文化開放で、岩井俊二監督の「LoveLetter」の大ヒットを起爆剤に、1999年から韓国に「日本ブーム」が起きた。
高校で日本語を選択する生徒が急増し教師不足が深刻化。
日本語学校も爆発的に増え、W杯共催に向けた市民交流の活発化が後押しした。
ところが昨年末、W杯初出場の中国が韓国で1次リーグを戦うことが決まると、にわかに「中国旋風」が巻き起こった。
韓国の映画やポップスが中国で人気を博し、親近感が広がる中、中国人観光客増加への期待も加わり「外国といえば米国か日本」という韓国人の目が、一気にほかの国に向いた。
若い世代に特にこの傾向が強かった。
日本への「反発」と「過大評価」が複雑に入り交じる旧世代と違い「引け目」は皆無だ。
韓国が経済成長を成し遂げた後に生まれ、物心ついた時は経済的な豊かさも民主社会も当たり前だった世代。
「斜陽の経済大国」(韓国紙)の日本に対し、97年の経済危機を克服し「情報技術(IT)で世界をリードしている」という自負も強い。
もっとも「日本語に飽きたのかな」という徐さんも「日本嫌い」になったわけではない。
「みんな今も日本のアニメが大好きだけど、かといって、もう特別な国というわけじゃない」。
日本はいくつもある外国の一つにすぎない。
そして「共催だから」W杯では日本を応援している。
(ソウル共同)
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