[写真]ママが挑む大舞台4 ビーチバレー女子の佐伯美香

「結婚と出産はわたしの夢だった。その両方がかなった後も、半年くらいでもう試合に出たくなったんです」。北京で3度目の五輪出場を狙うビーチバレー女子の佐伯美香(ダイキ)は恥ずかしそうに笑った。1年のうち約9カ月間、夫の福井公彦さん(43)と5歳の長男健太君を松山市内の自宅に残しての競技生活は6年目だ。
36歳の佐伯はバレーボールで1996年のアトランタ五輪に出場した。ビーチバレーに転向し、2000年シドニー五輪で4位に入賞。01年に結婚して引退を表明した。
翌年、健太君を出産。その後はコーチを務めたが、公彦さんの勧めもあって03年に現役に復帰した。佐伯は結婚当時のことを「競技を続けられる環境があったのに、一度は引退を選んだことを後悔している」と話す。結局、アテネ五輪には出られなかった。
公彦さんは復帰を促した理由をこう語る。「妻はバレーを取れば何が残るの、という感じの人。僕はシドニー五輪を観戦し、非常に感動した。子供も五輪を見れば、ママが頑張る姿を目に焼き付けられる」
五輪に出るには毎年、世界各地で行われるワールドツアーを転戦し、ポイントを積み上げる必要がある。佐伯が家を空けるときには、会社員の公彦さんがほぼ1人で健太君の面倒を見る。佐伯は「夫は不平を言わないが、想像以上に大変だと思う」と感謝している。
北京五輪後は国内で競技を続けたいという。「今までは家庭を放棄してきたようなもの」と冗談めかしたが「五輪の後は今までの分を取り返したい」と優しい口調で言った。

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