[写真]「ゴーイング・マイ競技」まず1勝し、価値示したい ボクシングの清水

プロに比べ、アマチュアボクシングの注目度は低い。北京五輪フェザー級代表の清水聡(しみず・さとし)(駒大)にとって、五輪はアマの存在価値を示す絶好の機会でもある。「とにかくまず1勝したい」と必死で練習している。
身長178センチの22歳のサウスポー。体重57キロ以下のフェザー級ではかなりの長身だ。打って離れるアウトボクシングが得意で、長いリーチと軽快なフットワークを持つ。日本代表の本博国(もと・ひろくに)監督(38)は「相手パンチを見極める能力が高い」と防御を評価。本人も「技術をさらに磨き、パンチをもらわないボクシングを目指す」と言う。
アマ選手には、やはりいつかはプロでとあこがれる選手も多いという。だが清水は「アマがプロより弱いとは思わない」と言い切る。プロは1ラウンド3分。アマの国際試合はヘッドギアをつけ、1ラウンド2分と異なる点についても「長丁場では負けても、パンチを当てる力と防御はアマが上」と譲らない。
ボクシングを始めたのは中学3年の時。プロの日本王者も出した地元岡山の名門、倉敷守安ジムを見学してからだった。翌年から地元の関西高で本格的にスタート。ボクシング有名校ではない駒大で腕を磨き、素質を開花させた。
「五輪後のことは、まだほとんど考えていない」と自身のプロ転向には言葉を濁す。「大学リーグを含め、もっとアマチュアボクシング全体が脚光を浴びてほしい。ただ、今の自分にはその方法が分からない」と、もどかしそうな表情も浮かべた。五輪の大舞台は、その突破口を探るための戦いでもある。

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