「ゴーイング・マイ競技」世界選手権に続くメダルを アーチェリーの守屋

1日約300本の矢を丹念に撃ち込む。アーチェリー選手の日常は静の世界だ。「真ん中に当たった時の爽快(そうかい)感。日ごろから研究しないと、なかなかいい感じには撃てないし、奥が深い」と魅力を語る北京五輪代表の守屋龍一(もりや・りゅういち)(ミキハウス)は、五輪で2005年世界選手権に続くメダル獲得をと意気込んでいる。
「ああしよう、こうしようとか考えないで、すっと構えられるのが理想」と言う。雑念を払い、正確な動作を繰り返すことが求められる。強風や雨の中でも矢をしっかり飛ばし、集中力を持続するには体力が必要で、ランニングにも汗を流す。ただ、腕の筋肉は「パワーというよりは感覚」と、弓を引くことだけで鍛える。
23歳の元野球少年は、地元の大阪・岸和田産高でアーチェリーに出会った。急速に日本のトップクラスに成長して強豪の近大に入ったが、4年前のアテネ五輪はあと一歩で出場を逃した。
その悔しさをバネに、翌年の世界選手権で日本男子史上2人目の銀メダルという快挙を成し遂げた。だが「重荷と自信、両方になった」。フォームに迷い、楽しめない練習に身が入らない。昨年、苦しみながら国内選考会を突破。世界選手権で30位と、かろうじて初の五輪切符をつかんだ。
ことしに入ってから「自分のアホさが分かった」と考えを改め、周囲の助言を素直に受け入れるようになった。「体の感じ方が良くなってきた。調子が上がっていく雰囲気」と表情は明るい。
アテネでの山本博(やまもと・ひろし)(日体大教)の銀メダルは、日本選手に強烈な印象を残した。守屋も「北京では自分があんな活躍をしてみたい」と思い描いている。

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