「摘発の舞台裏 ドーピング」所持、検査拒否も処分 IOCのドーピング対策

北京五輪の開幕は8月8日だが、ドーピング検査官にとっての「開幕」は7月27日だ。国際オリンピック委員会(IOC)は選手村が開村する同日から8月24日の閉幕までを広い意味での「五輪期間」と位置付け、違反者への包囲網を張り巡らせる。
期間中に実施する検査数は、前回アテネ五輪から25%増の約4500件。そのうち約1500件は「事前検査」と呼ばれる競技外の抜き打ちテストとなる。シャマシュ医事部長は「アテネ五輪からの増加分は、ほぼ事前検査だと考えていい。今大会の大きな特徴だ」と説明する。しかも事前検査は選手村入りした選手だけでなく、母国や事前合宿地で本番に備える選手も対象となっている。300件前後は中国に到着する前の選手を検査する見通しだ。
取り締まりは検査だけにとどまらない。期間中は禁止薬物を所持していただけでドーピング違反と見なされ、五輪から追放される。検査を受けることを拒否したり、居場所を隠して回避した場合も規定に基づき処分される。外科医でもあるロゲ会長は「選手を守るため、ドーピングと闘い続ける」と宣言している。
IOCは前回のアテネ五輪で再検査を拒否した陸上男子ハンマー投げのアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)を失格とし、2年前のトリノ冬季五輪では宿舎から輸血器具が押収されたオーストリアのスキー選手らを違反と断定した。リュンクビスト医事委員長は「検査以外の方法で違反者が特定されるケースは増えている。アテネでも、トリノでもあった。今回もまた起きるかもしれない」と予測した。

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