[写真]「北京では金を」高ぶり抑えて最後の調整 女子レス浜口、集大成へ

泣き笑いの表情で銅メダルを首から下げた。父の平吾(へいご)さんが「北京に向けて、気合だあ」と悔しさを込めて叫んだアテネ五輪から4年。1月に30歳になったレスリング女子72キロ級の浜口京子(はまぐち・きょうこ)(ジャパンビバレッジ)は「まだ高ぶりはない。一日一日、強くなることだけを考えている」と、平常心を心に留めながら技を磨いている。
指導する赤石光生(あかいし・こうせい)コーチは、底力なら世界女王スタンカ・ズラテバ(ブルガリア)と互角とみる。ただ「試合になると力が入って、練習でできることができない」と、もどかしそうに指摘した。
アテネ五輪は準決勝で王旭(中国)に惜敗。その後も苦い経験を重ねてきた。2005年以降の世界選手権は2度の準優勝が最高。不可解な判定もあったが、ポイントを勘違いして勝機を逃すミスを犯したこともある。「北京までに、どんなに緊張しても相手と差があるぐらいに強くなりたい」と課題を直視した。
パワフルな正面タックルを得意としてきたが、最近の練習では重圧をかけながら機をうかがい、片足タックルを繰り返す。「派手ではないが負けないレスリングを」と同コーチ。3月のアジア選手権決勝では鮮やかな片足タックルを2度決めて北京への切符をつかみ「金メダルの夢に近づけた」と目を赤くした。
母の初枝(はつえ)さんは「見たがらなかった自分の試合のビデオを、今は時間があれば見ている」と、娘の姿勢の変化を感じている。競技を始めて16年。「こんなに強い女がいたんだと知ってもらいたいし、生きてきた証しを刻み込みたい」と集大成の舞台に挑む。

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