「北京では金を」北島Vの雄たけびが原動力 競泳男子平泳ぎのハンセン

隣のコースで優勝した北島康介(きたじま・こうすけ)(日本コカ・コーラ)が上げた雄たけび、こぶしをたたきつけて上げた水しぶき。4年前の屈辱は忘れられない。アテネ五輪競泳男子百メートル平泳ぎで2位に敗れた26歳のブレンダン・ハンセン(米国)にとって、この記憶が北京五輪への原動力となっている。
二百メートルでも3位に終わったアテネの後、北島の叫び声を頭から離さないように決め、練習では常に最大の力を出した。「2度と同じ失敗はしたくなかった」と臨んだ翌2005年の世界選手権(モントリオール)では百メートルで北島に競り勝った。「厳しい練習が実を結んだ。北島が自分の中の最高の力を引き出してくれた」と胸を張った。
北島とは世界の水泳界で指折りのライバル関係にある。アテネで2冠を獲得した後、意欲減退と体調不良に苦しんだ北島とは対照的に歩みを緩めなかった。06年パンパシフィック選手権(カナダ・ビクトリア)では二百メートルで北島に大差をつけ、2分8秒50の世界新記録をマーク。アテネでの北島と同じように水しぶきを上げ「ウオー」と叫んだ。国際大会での個人種目で自身初の世界記録樹立に「五輪への扉が開けた」と自信をつけた。
この4年間、2種目とも世界記録保持者の座を維持し、タイムでは世界一だ。最大の不安はアテネで見せた精神面のもろさ。最初のレースの百メートル予選で北島に好タイムを出されてペースをつかめず「彼(北島)のレースをしてしまった」と自分を見失った。昨年の世界選手権(メルボルン)は百メートルで北島に勝ったが、二百メートルは棄権した。
自分の弱さを克服したとき、頂点が待っている。

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