[写真]「日本のメダル戦略」スペシャリスト選抜で打開 中国対策練った体操日本

2004年アテネ五輪の体操男子団体総合で28年ぶりの金メダルを獲得した。北京は「体操ニッポン」の力を再び世界に示す舞台だ。この4年間、日本代表を率いてきた具志堅幸司(ぐしけん・こうじ)・日本協会男子強化本部長は「団体の連覇が最大の目標。そのためにライバルの中国対策を意識した代表選考を導入した」と話した。
具志堅体制の世界選手権も第一人者の冨田洋之(とみた・ひろゆき)(セントラルスポーツ)が引っ張ったが、演技価値点と演技実施点を合計する新採点方式は06年が3位で、昨年が2位。難しい技を取り入れて、価値点を圧倒的に上げた中国の戦略に完敗した。巻き返しを期す強化本部は五輪本番を想定し、初めて五輪代表選考でスペシャリストを3人起用する種目別重視の作戦に切り替えた。
世界選手権で中国に見劣りしたあん馬とつり輪は選考の種目別配点を上げた。あん馬で鹿島丈博(かしま・たけひろ)(セントラルスポーツ)やつり輪で中瀬卓也(なかせ・たくや)(徳洲会)が代表入りし、弱点補強の狙いは的中した。冨田の苦手な床運動と跳馬を得意とする沖口誠(おきぐち・まこと)(コナミ)も入った。ある協会幹部は「名前が売れている水鳥(みずとり)(寿思(ひさし))がけがで外れたことは痛いが、それ以外はほぼ想定通り」と満足そうだ。
伸びしろのある若手の内村航平(うちむら・こうへい)(日体大)と坂本功貴(さかもと・こうき)(順大)は強化合宿で難しい技に挑戦し、価値点向上に努めた。主将を務める冨田は「バランスが取れていて、いいチームになるはず。あとは日本の良さの、出来栄えの美しさと安定感を高めたい」と手応えと目標を口にした。アテネで見せたノーミスに近い演技を再現するため、五輪まで残された時間に追い込む覚悟だ。

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