ベルギー(上)
ワールドカップ(W杯)1次リーグH組で日本はベルギー、ロシア、チュニジアと決勝トーナメント進出を争う。
H組は絶対的な本命が不在。
日本代表のトルシエ監督が指摘するように、どのチームにもチャンスがある「オープン」なグループだ。
日本が対戦する3チームの現状を探った。
2月11日。
ベルギーの冬にしては暖かいというが、吹き付ける風は冷たい。
6大会連続出場の「赤い悪魔」、ベルギー代表が今年初戦のノルウェー戦へ向けブリュッセル郊外のグラウンドに集合した。
練習前、62歳のワセージュ監督を選手が取り囲む。
代表のだれもがチームのよさとして真っ先に挙げる「組織力」を感じさせる「輪」だった。
予選全10試合に出場したGKデブリーヘルは言う。
「グループの強さがベルギーの強さだ。
オランダと比較すれば分かる。
向こうの代表はバルセロナをはじめとするビッグクラブに所属するが、ベルギー選手は決して大きなクラブにいるわけではない。
だがチームには、いいメンタリティーがある。
みんな一生懸命やり結果を出せたのだ」フランス大会まで代表にいたシーフォのような才能豊かな選手はいない。
だが、30歳前後の選手が中核を占めるチームは、それぞれの力量をわきまえている。
MFホールは「選手が互いに、だれが何をできて何をできないかをよく知っている。
本当に『チーム』であるということだ」。
昨年11月のW杯を懸けたプレーオフが好例だろう。
個々の能力では上回るチェコに対し、揺るがない組織力で対抗。
2試合とも1-0で競り勝った。
結束力を育てたワセージュ監督は1999年8月に就任した。
翌年、オランダと共催した欧州選手権は1次リーグ敗退で期待を裏切った。
W杯欧州予選6組でも最終戦でクロアチアに1位を譲った。
それでも、瀬戸際で出場権を得た。
「ワセージュ監督が来てからずっと、選手との関係はすごくいい」(ホール)。
監督と選手の信頼関係は深まった。
代表には珍しい、「チーム」としての機能がベルギーにはあり、強さの源となっている。
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