チュニジア(上)
▽長期強化とのはざまで苦悩▽問われる名将の手腕チュニジアは、伝統的にカウンターのチームだ。
過去2度のワールドカップ(W杯)出場時のほか、アフリカ選手権や地中海大会で好成績を収めた際は、守備を固めてカウンターを狙う策がよく決まった。
しかし昨年末に3年契約で就任したフランス人のミシェル監督は「カウンター主体のチームは好みではない。
中盤を支配し、強いFWで得点を取れるチームに仕上げたい」と、若手も積極的に起用して攻撃的なスタイルへの変ぼうをもくろんでいる。
その場しのぎの守備固めに固執しないのは、監督の起用そのものが2004年に自国で開催するアフリカ選手権での優勝を最終目標としているからだ。
同国サッカー協会のフェキヒ会長は「勝利や、決勝トーナメント進出が目標ではない。
内容が重要であり、チュニジアの印象を良くすることが最大のテーマ」と、今回のW杯を長期的な強化の一環だと説明する。
しかし、先のアフリカ選手権1次リーグで1点も挙げられずに敗退した代表を取り巻く環境は、厳しい。
国内で沸騰した批判を受け、協会は敗因を究明する委員会を設置。
2月中旬にはチュニジア人コーチの起用や、代表選手選考を監督とは別の小委員会でも行うことを決めた。
過去、フランス、カメルーン、モロッコを率い「3度のW杯を経験した名将」として迎えられたミシェル監督の裁量が狭まりつつある。
同監督は「ここでの問題は、過大な期待と失敗に対する落胆の激しさだ」と、目先の結果も問う国民気質がチーム作りの妨げになっていると言いたげだ。
戦力は、GKエルウアエルを中心に守備が固く、得点力不足の課題はW杯予選で計10得点を挙げたジャジリとジトゥニの復帰待ちだ。
長期強化と目前のW杯対策のはざまで、ミシェル監督がどんな手を打つかがかぎとなる。
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