チュニジア(中)
地中海に面する北アフリカに位置するチュニジア。
首都チュニスは欧州に近い北部沿岸に位置する。
しかしサッカー選手が活躍の場を求めて海を渡るのは少数で、代表のほとんどは国内クラブに所属している。
代表のGKエルウアエルとFWジトゥニも、チュニスに本拠地を置く強豪、エスペランスの主力だ。
攻守の軸として欠かせない2選手は、それぞれの思いを胸に、ワールドカップ(W杯)を待っている。
正GKとして1998年のW杯フランス大会に出場し、代表キャップ数も100に迫るエルウアエルは35歳。
W杯後には代表引退を決めているベテランだ。
強気な飛び出しと冷静な判断力で「アフリカ最高のGK」の称号を既に得ているが、アフリカ以外ではそれほど知られた存在ではない。
海外での経験が、昨季イタリア2部リーグでプレーした程度の同選手は「世界中に、エルウアエルという名前を覚えてもらいたい」。
最後の国際舞台で、アフリカの枠から脱皮しようと意欲的だ。
ジトゥニも、W杯でアピールしたい考えは同じだ。
21歳になったばかりの天性のストライカーは、その先に欧州の一流クラブへの進出を夢見ている。
昨年9月、クラブの試合で右ひざの靱帯(じんたい)を断裂した際、まずトレーナーに聞いた質問は「W杯に間に合うか?」だった。
ジトゥニは「僕がどれだけ待ち遠しく思っているか、分かるだろう」と語気を強め、「W杯はこの先の人生を決めるという意味では、一生に一度だ」と言った。
日本との対戦は1次リーグ最終戦。
W杯を「サッカー人生」の集大成にと願うベテランと、大会を踏み台に世界への飛躍を期す若者の双方に重要な試合になる。
W杯が、それぞれの人生の転機になることだけは確かだ。
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