ドゥンガに教え受ける、新世紀のボランチ福西

しなやかな身のこなしと頑丈な足腰。25歳の福西崇史(磐田)は日本代表で総合的な身体能力に最も優れた選手だろう。空中戦の強さは、小学生時代から取り組んだ器械体操の経験が生きている。攻撃力と守備力を兼ね備えた新世紀の守備的MF(ボランチ)だ。
ことしに入り、日本代表の試合に連続して出場するようになった。トルシエ体制下では「まず攻守のバランスを考える」と慎重なプレーが目立ったが、徐々にJリーグ通算30得点の血が騒ぐ。セットプレーから持ち前の跳躍力でシュートを放つ場面も増えてきた。
愛媛・新居浜工高時代はストライカーだった。磐田スカウト陣も破天荒な点取り屋に一目ぼれして獲得。しかし、入団後、FWに中山らが君臨するチーム事情でボランチ転向を言い渡される。そこで待っていたのが元ブラジル代表主将のドゥンガとの出会い。
練習から試合まで世界の名ボランチから怒鳴り声を浴びせられた。体の向きからボールのけり方、位置取りまで。「とにかく細かく指摘されたけど、本当に学んだことは多い」。生きた教本を横目に、福西は攻守のかじ取り役の極意を体に染み込ませていく。
さらに同期入団の技巧派MF名波にも強い影響を受けた。ボールの扱い方、パスの展開力。今では「派手な存在でなくていいから、考えたプレーをしたい」と自信を持っていえる。
ワールドカップ(W杯)代表に選ばれた第一声は「フィジカル面で負けたくない」。着実に成長するクールな男は「一発」の意外性を秘めている。

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