洞察力抜群のマーカー、服部

洞察力のある左利きのハードマーカー。28歳の服部年宏(磐田)は守備の職人として2度目のワールドカップ(W杯)を泰然と待ち構えている。「前回ほど変な緊張感はないし、今回の方が自分のチームという意識はあるよ」。欧州遠征中のチームで年齢は上から2番目の兄貴分でもある。
2月に急性腹膜炎で手術を受けた。一時は体重が3キロ落ち、厳しい食事制限も経験したが、4月のコスタリカ戦で3試合ぶりに代表復帰。1-1の残り10分で左DFに投入され、地味ながら失点を避けて試合を締めくくる「守備固め」の仕事を忠実にこなした。
最大の武器は1対1の強さだ。トルシエ監督は「服部のボール奪取力は欧州でも通用する」と言う。その秘けつを問うと「当然コツはあるけどそれは言うことじゃないから」。相手の目や体の向きで先読みし、独特な猫背の体勢から瞬時に体をねじ込みボールを絡め取る技は、積み重ねた経験のたまもの。
守備の万能選手と期待されながら、3戦全敗をベンチで見守った4年前のW杯は「遊びに行ったようなもの」。今回はDFから左サイドまでこなす「使い勝手のいい選手」(服部)だけで終わるつもりはない。
東海大時代、陸上の中距離選手に転向を勧められた脚力と心肺機能が、人並み外れたスタミナの源。
W杯1次リーグH組のロシア、ベルギーは右サイドに好敵手がそろう。敵に押し込まれるような厳しい試合ほど、服部の存在価値が出てくる。

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