狙いはGKとDFの間、クロスに懸ける市川
右サイドの仕掛け人、市川大祐(清水)は、クロスに4年分の思いを込める。球の回転、角度、強弱の細部にまでこだわり、時には一日100本以上もけり続けてきた。「狙いは相手GKとDFの間に入れるボール」。イングランド代表のベッカムを手本に、状況に応じて使い分けるクロスの種類も増えた。
最年少の17歳で代表デビュー。前回のW杯フランス大会は直前で登録メンバーから外れたが、最後までチームに同行し、夢の舞台をベンチで見守った。「4年前は修学旅行で連れて行ってもらった感じ。タッチラインの外と中では別世界だった」。それだけに、自分の力で勝ち取った今回のW杯に懸ける思いは強い。
もっとも、それ以降は逆風の連続だった。1999年世界ユース選手権直前にオーバートレーニング症候群を発症。周囲に期待されるストレスと「常に全力投球」という性格が災いし、十代の若者は心身ともに疲れ果てていた。
シドニー五輪も落選。しかし清水ユース時代の恩師、大石監督(現磐田サテライト監督)の助言で「がむしゃらさ」を取り戻し、昨季のJリーグは全試合出場で゙アシスト王″に。そんな復活が認められ、ことしに入り、トルシエ体制下で初めて代表入りした。
3月のポーランド戦。トルシエ監督から守備重視を指示されながら、自分の攻撃色を押し出して2得点に絡んだ。「経験、体力、プレーのすべてに成長した自信がある。もちろん人間としても」。代表最年少の22歳は、もう大人の風格が漂っている。
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