クラブ育ちの稲本潤一
プレーの魅力は「ダイナミズム」。これを伸ばしたのは「クラブ育ち」。JリーグのG大阪からアーセナル(イングランド)に移籍した日本代表の守備的MF稲本潤一は「ワールドカップ(W杯)が楽しみ。ここでの活躍が、来季にも影響してくる」と、本番を心待ちにしている。
ボールを持った相手選手への寄せの速さ、前線への攻め上がりは、日本人離れした躍動感にあふれている。足元の技術の高さに、思い切りのいいミドルシュート。アーセナルの知将ベンゲル監督に将来
性を買われたゆえんだろう。
例えば昨年11月のイタリア戦。敵陣左でカンナバロからボールを奪い、丁寧なラストパスで柳沢(鹿島)の先制点をアシストした。
今月7日のレアル・マドリード(スペイン)戦では雨中戦を全く苦にせず「ガチンコ勝負ができた」と白い歯をこぼした。
1997年4月、G大阪で17歳7カ月のJリーグ最年少出場記録(当時)をつくった。童顔は22歳の今も変わらないが、体つきは181センチ、75キロの頑健な肉体に変身した。
単なる中盤のエースキラーに終わらないのは「ボールを止めて、ける」基本が身に付いているため。中学も高校もサッカー部に所属せず、G大阪の下部組織で単調な基本技術の反復練習に打ち込んだ。
プロ、そして世界という明確な目標があったからだ。
目先の勝ち負けにとらわれず、大きく伸ばそうというJリーグのクラブが生んだ、世界に誇れる「メード・イン・Jリーグ」。それが稲本だ。
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