恵まれた体力の松田
「僕の持ち味は1対1。これで勝負したい」。2年前から代表に定着した183センチ、78キロの大型DF松田直樹(横浜M)は、25歳で迎えるワールドカップ(W杯)での個人的目標をこの一点に絞っている。もちろん、常勝のイメージしか抱いていない。
外国人選手相手に、これほど1対1のバトルにこだわる日本選手は珍しい。中学3年まではFWで、足元の技術はハイレベル。空中戦も強い。恵まれた体格と能力があればこその自信。中央の森岡(清水)との呼吸もぴったりで、安心して背後のカバーを任せ、エースつぶしに専念している。
年齢別代表では、同期の中田英(パルマ)とともに1993年のU-17(17歳以下)世界選手権、95年の世界ユース(20歳以下)選手権で8強入り。96年のアトランタ五輪では、堅い守りでブラジルを1-0で破る金星の原動力となった。
だがその後、負傷やムラっ気な性格もあって松田の名は表舞台から消えた。それも「天狗(てんぐ)になって」(松田)自己管理を怠ったツケだったと目覚めたのは、結婚がきっかけだった。精神面の安定と家庭への責任感が、ひたむきな向上心を呼び戻した。
集中力と好不調の波がめっきり減ったのが成熟の証し。3月のポーランド戦では、激しい当たりで欧州各国のスカウトたちに強い印象を与えたようだ。「すごい選手がそろった相手とやりたい」と意欲を燃やすW杯は、現役代表DF初の海外移籍の道を切り開くかもしれない。
戻る