フラット3の申し子
読みの鋭さで勝負、森岡
トルシエ体制下で最多出場を誇る森岡隆三(清水)は、戦術の根幹となる「フラット3」の申し子と呼ばれる。「熱くなりすぎると判断は鈍る。頭は常に冷静でいないと」。ひょうひょうとした語り口の裏には、26歳の頭脳派DFの熱い血がたぎっている。
しかし、ことしは2月から右太もも裏肉離れに悩まされ、時間との闘いが続いた。「心の底から楽しみたい」と夢に見たワールドカップ(W杯)をあきらめかけた時期もある。だが、気力で復帰にこぎ着けた。「スパイクを履いて、ボールをけって…。久々に新鮮な気持ちを思い出した」
神奈川・桐蔭学園高時代から読みの鋭いDFとして活躍。パスセンスも非凡で鹿島入団時はサイドバックも経験した。「DFとして、ここがすごいという面は持っていない」と認めるように、屈強さ、速さで勝負するタイプでない。ただ、フラット3の中央で複雑な動きを要求されるラインの統率力、展開力、試合の流れを読む力は群を抜く。
昨年4月のスペイン戦を控えた公開練習でトルシエ監督と衝突し、怒りを抑えられずにスパイクを放り投げて゛退場"したこともあった。一方で、チームの頭脳として「トルシエと戦術論とか話し合ってきた時間には自信があります」
1999年3月のブラジル戦で井原(浦和)と交代して代表デビュー。それは日本を代表するDFの世代交代の象徴的なシーンだった。「ここまできたら死ぬ気でやる」。森岡は守備のリーダーを自覚して日本を支える。
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