急所突くロングパス
攻撃陣生かす中田浩
3バックの左で不動の存在となった中田浩二(22)=鹿島=には、プレーだけでなく、頭の柔軟性で、代表チームのスタイルに適応してきた。
「人の話を聞く耳は持っていると思う。自分の中に最初から確信があって、違うことを言われても、できないと言うのではなく、とりあえずやってみようという気持ちでいる」
鹿島での守備的な中盤から、代表では1列下がったポジション。攻撃好きの気持ちを抑え、攻撃的な選手が中盤の左に入れば守備に専念する。鹿島とは求められることが違う中で周囲と調和し、昨年4月のスペイン戦からレギュラーの座を確保している。
飛び抜けた才能はない、と自覚している。だが、周囲の能力を発揮させようとする意識は昔からあった。中学までのFWから、中盤を任された東京・帝京高時代。ロングパスを左右から中央に送りシュートへつなげる練習の際、受け手の持ち味を生かせるようなパスを心がけた。
ワンパターンでは飽きるからと、何種類ものボールを試してみた。左後方から鋭く相手の急所を突くロングパスの原点は、そこにある。
「体も強くないし、足が速いわけでもない。特別な技術があるわけじゃないから、周りをうまく使おうと思っている」。日本の戦い方は三都主、小野、中村らタイプの違った攻撃的選手を左サイドに置く。適応力の高い「黒子」が後方から支える。
戻る