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トルシエ・ジャパンが、6万6000人の大観衆を前で歴史をつくった。
1954年スイス大会予選で初挑戦してから48年。
初出場した4年前は、3連敗と世界の壁にはね返された。
ついにもぎ取った歓喜のW杯初勝利に、ピッチ上のイレブンはこぶしを突き上げ雄たけびを上げ、ゴール裏の日本サポーターは試合後いつまでも勝利の余韻に酔いしれた。
「素晴らしい試合。
本当に高い技術を発揮してくれた」。
トルシエ監督は興奮気味にまくし立てた。
攻撃の起点となった中田英は「この勝利はだれが頑張った、得点した、引っ張ったでなく、チーム全員の勝利。
出た選手、出なかった選手みんなで勝ち取ったし、ファンもそう」と、ロシアにプレッシャーをかけ続けた大声援にも感謝を忘れなかった。
そんな総力戦は、後半6分、金髪に染めた色そのままに、攻守に獅子奮迅の働きを見せた稲本のゴールで決着した。
オフサイド気味ではあったが、稲本が、GKの肩口を破る冷静なシュートを放ち、歴史的なW杯1勝をたぐり寄せた。
押しては返す波のように、双方が相手ゴール前に迫った好試合。
後半開始早々には、それまで抑え込んでいたカルピンに右サイドを破られ、折り返しを至近距離でイズマイロフにフリーのシュートを許しが、ミスヒット。
運も味方した。
ベルギー戦で負傷した森岡は万全でなく、フラット3の統率役には鼻骨骨折で黒いフェースガードを着用した宮本が先発した。
右サイドのMFも、市川に代わって明神が送り出された。
その宮本は、これまでの失敗を繰り返すまいと慎重な守備ラインの上げ下げを指示、後半のロシアの猛反撃を体を張ってはね返した。
市川よりも守備的な能力にたけた明神の起用もずばりと当たった。
次は目標の1次リーグ突破が懸かるチュニジア戦。
「厳しい戦いになる。
まだまだ集中しないと」と中田英がいさめたように、楽勝ムードは禁物だ。
だが、日本にも歴史の積み重ねはある。
W杯初出場を逃した93年の、いわゆる「ドーハの悲劇」はもう繰り返すまい。
トルシエ監督は「あと1試合、全力を尽くしたい」と言い切った。
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