06/10 00:19
5年前に、マレーシアのジョホールバルでワールドカップ(W杯)初出場を決めた時と同じだった。
攻撃の起点となった中田英は、試合終了とともに喜びを爆発させたチームメートから1人離れ、ひと仕事終えたといった風情でベンチへと歩き出した。
そこに突進したのがサミア・コーチ。
中田英を抱き上げ、体を揺すって喜びを分かち合った。
ベルギー戦と同様に、相手の守備的MFスメルチンにぴったりとまとわりつかれた。
しかし、前半28分には相手GKの短いパンチを左足ダイレクトでシュート。
ボールは際どくバーの上を越えた。
後半26分には、ゴールやや右25メートルから強烈なミドルシュートを放ってバーを直撃するなど、前線への配球だけでなく、常に得点を狙い続けた。
「前の試合で2-1となって、すぐ点を取られた。
少し未熟さが出たと思っていたので、修正するつもりでこの数日間を過ごしてきたし、最後まで勝つ自信はあった」。
口元に笑みをたたえ、そう言い切った。
「まだ1次リーグ突破が決まったわけではない」と浮かれずに気を引き締めた。
このあたりにも、前回大会を経験し、イタリアで厳しい戦いにもまれている男ならではの風格が漂っていた。
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