06/14 20:08

残り10分、中田英寿選手が交代してピッチを退くとスタンドから温かい拍手がわいた。
その存在なしには日本の勝利も、決勝トーナメント進出もなかったことを誰もが知っている。
そんなねぎらいの拍手だった。
「世界へ自分を売り込む大会」だった前回から4年、今度は「日本のため、チームのため」の大会だった。
「1次リーグ突破という結果を出せたのは僕たちにとって、とても大きな意味がある」。
試合の後、スーツに着替え、その責任を果たせた喜びを淡々と語った。
後半75分、右サイドからのセンタリングに頭から飛び込んだ。
自らのW杯初得点。
起き上がると、芝生にこすって赤くなった鼻を照れ隠しに手でなでながら、森島寛晃選手と抱き合った。
「自分が取ったということより、試合を決められたことがうれしい」。
あくまでチーム優先だ。
かつては孤高のカリスマのように、近寄りがたい雰囲気を漂わせていた。
今は練習中も積極的に声をかける。
試合では攻守に献身的なプレーを続ける。
稲本潤一選手が前線に飛び出せば、自分は後ろに引いて守った。
大会前の目標、1次リーグ突破は果たした。
決勝トーナメントは「もっと楽しみたい」。
それでも、チームのために走り続けるのだろう。

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