06/14 20:49

後半30分、青いユニホームの背番号7が空中に舞い上がり、体を折り曲げる。
市川の右クロスを頭で地面にたたきつけようなヘディングシュートのお手本で2-0。
日本の1次リーグ突破は、この時点で決まった。
「W杯でも点を取りたい」と公言していた中田英が、値千金の追加点でその言葉を実現した。
「1-0の状況ではまだ相手に(追い付く)チャンスはあった。
2点目は試合を“閉める"という意味で大事。
そっちの方が、個人で点を取ったことよりもうれしかった」。
平然と話したあたりがこの男らしい。
「孤高」の選手も25歳。
年輪を重ね、リーダー役の期待にもしっかりと応えている。
ピッチの外でも仲間の輪に入り、ベルギー戦の前日練習終了後には、景気づけに音頭を取って「凱旋(がいせん)行進曲」を合唱した。
そんな自覚はもちろん、ピッチの上での動き光る。
この日も右足首の負傷をものともせず、サイドに回ってクロスを上げ、身振り手振りで指示を出しながら、2列目から飛び出した。
今の日本代表は、ヒデのチーム。
あらためてその事実を証明したこの日、試合終了の笛とともに大歓声を一身に浴びると、軽く手を振ってロッカーに戻った。

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