04/09 17:15
▽「黄金の世代」に託す夢▽執念燃やすフィーゴポルトガル代表の応援グッズで一番の人気は、国旗の赤と緑の色であしらった5ユーロ(約560円)のマフラーである。
港町ポルトのエスタディオ・ド・ベッサで行われた3月27日のフィンランド戦でも、スタンドはマフラーのツートンカラーで染め上げられた。
しかし、うねりのような応援は影をひそめた。
「フィーゴもルイコスタもいなくては、勝ち目はない」。
そんな予感がうずめいていたせいだろう。
ポルトガルを代表するスター選手2人をけがで欠いた試合は、フィンランドに1-4で完敗した。
「攻撃リズムがまったくつくれなかった」と、オリベイラ監督は振り返ったが、その言葉は、両輪が抜けてはポルトガルの戦術は成り立たないことを裏付ける。
3月6日のスペイン国王杯で右足首を痛めたフィーゴは、珍しく神経質になった。
多少の無理をしてでも、所属するレアル・マドリードへの貢献を優先する責任感の強い選手なのだが、伝統のバルセロナ戦(3月16日)、欧州チャンピオンズリーグで準々決勝のバイエルン・ミュンヘン戦(4月2日)も欠場するなどほぼ1カ月、ピッチから離れた。
地元スポーツ紙は「フィーゴの頭には今はワールドカップ(W杯)しかない」と報じた。
前回フランス大会の出場を逃した29歳のドリブルの名手にとって、ことしのW杯は最初で最後のチャンスになる。
昨季は国際サッカー連盟(FIFA)の年間最優秀選手に輝いた後、フィーゴは「名誉よりも僕は実績を残したい」と打ち明けた。
これもW杯への執念からだろう。
ポルトガルは2年後に欧州選手権を開催する。
リスボン、ポルトでは、開催に向けてスタジアム改修や道路整備が急ピッチで進む。
代表はことしのW杯に、フィーゴら、世界ユース選手権を制した「黄金の世代」を中心に初制覇を狙う。
「W杯で好成績を残せば、国中が活気づく。
欧州選手権を成功させるためにも、フィーゴやルイコスタに奮闘してもらいたい」。
ポルトガル・サッカー協会のフレイタ広報部長は「黄金の世代」に夢を託した。
(リスボン共同)
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