04/09 16:28

「あいつさえ、いてくれれば…」。
チュニジアではそんな声がたびたび聞かれる。
1月のアフリカ選手権から勝ち星に恵まれない代表のFWに、ファンが待ち望んでいるのは若きストライカー、ジトゥニだ。
首都チュニスに本拠地を置く強豪クラブ・エスペランスが、ジュニア強化のために創設したトレーニングセンター出身。
14歳からクラブに入り、常に技術の高さとスピードで注目を集めてきた。
均整の取れた体に柔和な表情。
ワールドカップ(W杯)アフリカ予選では5得点を挙げ、2トップを組むジャジリとともに大活躍した。
しかし、昨年9月、所属クラブの試合中に左ひざの靱帯(じんたい)を断裂、戦列を離れた。
周囲はもちろん、本人も一度はW杯出場を絶望的と考えた大けがだった。
幸い、手術は成功し、順調に回復。
年明けの1月初旬には、ジョギングを開始した。
ジトゥニは「走れるようになって、本当にうれしかった。
これで、W杯に出られると思うと、もう大会が待ち切れない思いだ」。
ただ黙々と走るだけでも、表情は明るかった。
3月から、ボールを使ったトレーニングに入り、ゲームへの復帰は4月中の予定だが、もう代表復帰へ向け意欲は十分。
W杯後には欧州への移籍も視野に入れている21歳は、「人間は挑戦する生き物。
W杯ではベストを尽くして、ジトゥニという名前を覚えてもらいたい」と、抱負とともに野心をのぞかせた。

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