04/16 16:23

北京での夏季五輪開催決定、冬季五輪での初金メダル獲得と勢いに乗る中国スポーツ界。
サッカーのワールドカップ(W杯)初出場も目前に迫り、ファンの熱い期待が高まる。
中国国際航空機が15日、韓国・釜山近郊で墜落し、影響を懸念する声も出ているが、それを吹き飛ばす熱気だ。
中国と、中国を受け入れる共催国の韓国、日本の動きを紹介する。
「必勝、必勝、国安必勝」--。
中国プロサッカーの人気クラブ、北京国安チームの「狂飆(きょうひょう、暴風)応援団」が観客席の最前列で大声を張り上げる。
地元北京でのW杯前の最終試合となった対重慶力帆戦。
国安が4対0で圧勝すると、スタジアムの工人体育場は大歓声と紙吹雪に包まれた。
サッカーは中国で最も人気のあるスポーツ。
アジア予選への初参加が1957年で、昨年10月のW杯出場決定以来、多くのファンにとって「44年間の夢がついに実現した。
まずは一勝」が合い言葉だ。
控え目な目標とは裏腹に、「全国で約1億人」(サッカー専門紙、北京足球報の丁山主任)と言われるファンの熱烈な応援ぶりは、時に過激な暴力事件を引き起こすこともある。
陝西省西安市で3月下旬、地元チームの試合の判定をめぐり多数のファンが暴れ出す騒ぎがあった。
観客席に火を付けた上、スタジアム外でも車が燃やされ、警官隊とのもみ合いでけが人が出る事態となった。
サッカーファンによる中国で最大の暴動は85年に北京で起きた。
事件の“火元"となった工人体育場のスタジアム南側には今、サッカーの試合では必ず「礼儀正しく試合を観戦し、冷静に勝ち負けに対応しよう」という意味のスローガンを書いた大きな横断幕が掲げられる。
中国チームが出場する韓国での試合を観戦するツアーはチケット込みで6000-1万元(約16万円)。
通常の韓国観光ツアーの2、3倍もするが、中国の旅行会社によると「4万-6万人が応援に行く見込み」。
中国チームが予選リーグを勝ち残った場合も、1万人以上のファンが日本に行くとの予測もある。
関係筋によると「西安事件」後、事態を重視した中国政府は李嵐清、銭其シン両副首相の指示で外務省を中心に、W杯に向けた「中国版フーリガン」対策を検討した。
具体策は不明だが、韓国政府からも「心配を取り除くよう」対応を求められたという。
山東省から国安チームの観戦に来ていた自称「サッカー愛好家」の劉波さん(20)は「中国は悠久の歴史を持つ文明国家。
ファンが外国で騒ぐようなことは絶対にない。
安心してほしい」と力説した。
(北京、共同)
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