06/08 12:25
【ロンドン、リオデジャネイロ7日共同】「因縁の試合」として注目されたサッカーのワールドカップ(W杯)アルゼンチン|イングランド戦は7日、主将のベッカム選手がPKを決めたイングランドが勝利を収め、英国のファンは、アルゼンチンに対する「甘美な雪辱」(BBC放送)に酔った。
一方、4月に英国とのフォークランド紛争開戦20周年を迎えたアルゼンチンは経済危機のどん底。
W杯優勝候補の筆頭のはずが、予選リーグ突破にも暗雲が漂い始める結果となり、「敗北」の2文字が市民の心に一層重くのしかかっている。
「4年間の苦痛が消えた。
素晴らしい戦いぶりだった」。
前回W杯の対アルゼンチン戦で反則による退場処分を受け、チーム敗北の「戦犯」扱いされたベッカム選手の成長、活躍をたたえ、女性ファンは声を弾ませた。
ロンドン市内のパブでは、勝利に興奮し、試合後もなかなか職場に戻らないサラリーマンの姿が目立った。
アルゼンチン市民から試合後、「この国はもう沈没しているんだ」と嘆きの声が漏れてくるのとは対照的だ。
試合を前に、英メディアは対決ムードをあおった。
新聞各紙は両チームの過去の対決一覧表を掲載。
BBCテレビはPK戦で敗れた前回W杯の映像を荘重なBGMと重ねて流し、“歴史的決戦"の空気はいや応なしに高まった。
そもそもアルゼンチンと英国は、アルゼンチンの南端の沖合約700キロに浮かぶフォークランド諸島(アルゼンチンの呼び名はマルビナス諸島)の領有権をめぐり紛争となった関係だ。
戦闘では、アルゼンチン軍約650人、英国軍約250人の兵士が命を失った。
これについてアルゼンチン代表は表面上はクールだ。
試合前に主将のベロン選手は「イングランド戦に特段の意味はない」と冷静に語った。
しかし元代表のマラドーナ氏は“神の手ゴール"で知られた1986年のW杯での対戦を回顧し、「祖国のための戦いなんだ。
多くの仲間の死を身近に知っており、イングランドの選手にすべての恨みを込めたんだ」と地元紙に思いを吐露している。
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