06/12 08:31

フランスの予想外の1次リーグ敗退は、W杯で連覇することの難しさを改めて示した。
その難しさとは「偉大な前任者」を引き継ぐ監督の苦悩でもある。
フランスは1998年W杯を制した後、エメ・ジャッケ監督からロジェ・ルメール監督へとバトンタッチされた。
この4年間、フランスは選手の背番号がほとんど変わっていない。
ルメール監督に課された仕事が「98年のチームをそのまま維持する」ことだったことを象徴している。
前回大会後、守備の要だったデシャンとブランが引退。
2000年欧州選手権を通してアンリ、トレゼゲ、ピレスらが成長しチームが攻撃的色彩を強めたことは変化だった。
しかし、60歳のルメール監督はシステムそのものは頑として変えなかった。
選手起用は「同じ力量なら実績のある方を優先」が鉄則だった。
そうするうち、特にDFラインの“老朽化"が進んだ。
さらにピレスの離脱、「取り換えのきかない」ジダンの故障、最終戦のアンリの出場停止といった不運が、柔軟性のない戦い方という欠点を浮き彫りにした。
ルメール監督は「今大会われわれは100パーセントの状態ということがなかった」と嘆いた。
逆に言うとあらゆる危険を予測した対策が足りなかった。
94年W杯の出場を逃したどん底の状態から世界王者を作り上げた前任のジャッケ監督。
アシスタントコーチとしてジャッケ監督につかえその過程にかかわったルメール監督はなおさらその枠を飛び出すのは難しかったのかもしれない。
W杯連覇は戦前の34、38年大会のイタリアと、58、62年のブラジルを最後に途絶えている。
新陳代謝の早くなった現代サッカーにおいては、新たな挑戦を続けていくことが常に求められている。
前回優勝国が予選免除で出場できるのは、今大会で終わりだ。
(仁川、共同)
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