06/14 06:43
優勝候補だったアルゼンチンの1次リーグ敗退が決まった翌日の13日の昼下がり。
キャンプ地の福島県のJR広野駅で、帰国のため東京へ向かうジーパン姿のクレスポを見かけた。
前夜、試合終了のホイッスルとともに泣きじゃくっていたクレスポは、この日も目を潤ませ、田んぼに囲まれた人けのないホームから、大きなトランクを抱えて無言で上野行きの特急に乗り込んだ。
見送りはわずかに数人。
スター選手にはあまりに寂しい帰国だ。
「僕だってこんなに早く帰国するとは思わなかったよ」。
ホームに残った有力紙クラリンのグスタボ・ロンサノ記者が予約していた帰国のための航空便は、決勝戦後の7月2日のもの。
しかし、アルゼンチンの敗退を受けて、本社から帰国を命じられた。
同国では老若男女がサッカーの代表チームに熱狂的な声援を送る。
経済危機の同国のメディアはW杯取材に派遣する記者の数を大幅に削減したが、現場の記者らは寝る暇を惜しんで記事や写真を送り続けてきた。
敗退が決まった直後、ロンサノ記者らは「これがサッカー。
予測できないからおもしろいんだ」と強がった。
しかしこの日、クレスポの失意の帰国を見送ったロンサノ記者の目にも、涙があふれていた。
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