06/15 09:42
ロシアは、サッカーのワールドカップ(W杯)1次リーグ最終戦となる14日の対ベルギー戦で敗れ、1986年メキシコ大会以来の決勝トーナメント進出に再び失敗した。
リーグ突破の「天王山」日本戦に敗北した9日には、モスクワから主要8カ国(G8)の首都に似つかわしくない騒乱の映像が全世界に放映され、ロシアはピッチ外の出来事でも屈辱を感じながらW杯の舞台から退場することになった。
「法と秩序」の回復を掲げてきたプーチン大統領にとって、今月末の主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)直前のこの時期にクレムリンの執務室から目と鼻の先で、100人以上の負傷者を出す騒ぎが起きたのは衝撃的だった。
「大国ロシア」復活を目指すプーチン大統領は、2000年5月の就任以来、ソ連時代の“栄光"の象徴だった軍事機構、宇宙開発技術、そしてスポーツの再興に腐心。
1期目を折り返し、次期選挙をにらみ始めた大統領は、W杯を「強いロシア」復活のイメージを国民に植え付ける国威発揚の絶好の機会ととらえていた。
しかし「旧ソ連各共和国の混成だったソ連サッカーとロシア・サッカーは全くの別物」(元ソ連代表ブブノフ氏)。
大統領の思惑は大きく外れる結果となった。
日本戦でロシアのマスコミは、ドイツ人審判が“日本びいき"だったなどと報道。
国際サッカー連盟(FIFA)ランキングで格下の日本への敗北を素直に受け入れられないロシア世論の本音を示した。
しかし、ベルギー戦の敗北は、スポーツ大国の幻想から目覚め、“等身大の姿"を見詰め直すことが急務であることをロシアに突き付けた。
記事一覧