06/20 06:45
韓国はイタリア戦勝利の翌日も、勝利の余韻に浸っていた。
タクシーの運転手は「昨日の試合はすごかったね。
それにしても、ヒディンクは大統領にしたいくらいだ」と上機嫌だった。
韓国チームの躍進とともに、ヒディンク人気もうなぎ上りだ。
真っ赤に染まった大田W杯競技場では、オランダ国旗に「ILOVEHIDDINK」と書き入れ、腰や足に巻く若者もかなりいた。
中には、ヒディンク監督の顔写真入りのマントを羽織っている人もいた。
誰もが「韓国サッカーを発展させてくれた人ですから」と、賛辞を惜しまない。
昨年1月に指揮を執り始めてから、つい数カ月前までは、成績がパッとせず、愛人問題なども絡んで、批判の声も多かった。
韓国は、民族意識が強いので、外国人監督は合わないのでは、という意見も根強くあった。
しかし、今やそんな声は完全に吹き飛んだ。
過去、これほどまでに韓国人から愛された外国人はいないのではないか。
最近、インターネット上では「喜東丘」(ヒ・ドング)と書かれた住民登録証(18歳以上の国民に携帯が義務付けられている身分証)まで登場している。
もちろん本物ではない。
とはいえ、韓国人が非常に重んじる姓を与えるということは、ヒディンク氏に対する尊敬の念を強く表している。
(大島裕史=ノンフィクションライター)
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