06/21 08:42
サッカーのワールドカップ(W杯)でアフリカ初のベスト4入りを狙うセネガル。
1次リーグ初戦で旧宗主国フランスを破る大金星を挙げ、自分たちよりはるかに裕福な欧州代表らを次々と破り決勝トーナメントを勝ち進むこの国では今、国民の間に強烈な一体感が広がっている。
新聞の1面トップは連日、セネガル代表の話題。
かつて奴隷の積み出し基地だった悲しい歴史を持つ同国の市民は「強者セネガル」という誇りを胸に、22日のトルコ戦での勝利を待ち望んでいる。
地元紙は、代表チームの話題が満載だ。
「世界で3本の指に入るプレーヤーになりたい」という主力のディウフ選手へのインタビューや、選手の疲労を心配する記事。
ワッド大統領が試合のある日は早朝に起き、チームの勝利を祈るといった記事も掲載され、W杯一色の様相だ。
貧しいとはいえ、ほかのアフリカ諸国に比べて道路が整備され、小ぎれいな印象を与える首都ダカール。
街の中の道路で子供たちがサッカーをするのが日常風景だ。
ゴールは石を並べてつくり、車が通るとゲームは一時中断する。
セネガルでは、1部14チーム、2部14チームでつくる国内リーグがあるが、それだけではない。
同リーグより国民が熱中するのが、地元のウォルフ語で「ナ・ベタン」(雨期の活動)と呼ばれるサッカーの「地域対抗戦」だ。
7月から11月の雨期の間、学校が休みになる間に行われる。
ダカールだけでなく、全国の各地域にチームがある。
ナ・ベタンからスカウトされて国内リーグで活躍する選手も出ることがあり、サッカーは生活の一部だ。
通訳のファロク・ニャスさんは「国民の話題も今はW杯ばかり」と話す。
テレビがある家では、通りを歩く人が観戦できるように、テレビを窓際に置く所もある。
チームが勝ち進むにつれて街に掲げられた国旗はぐんと増えた。
タクシーのサイドミラーにはフランスとの試合結果を印刷したワッペンが張られ、路上で選手の写真やユニホームを売る人も多い。
今のセネガルは、サッカーが国民の心を一つにしているといえそうだ。
(ダカール共同)
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