06/24 16:05
5試合で失点はわずかに1点。
大会前の予想を覆すドイツのベスト4入りは、鉄壁のGKカーン抜きには考えられない。
韓国との準決勝を前に、33歳と円熟の境地に達した世界一のGKは「常に百パーセントで戦っているし、周りにもそれを求めている」と、闘将らしい意気込みを話す。
今大会のドイツ守備陣は、何度も相手選手とカーンの1対1の場面を許してきた。
だが、カーンの真骨頂は1対1での冷静さ。
慌てずに間合いを詰めてシュートコースを狭め、あるいは抜群の反応で絶体絶命のピンチを救ってきた。
「ストレスで1試合に2キロは体重が落ちる」という孤独なポジション。
闘志と集中力は鬼気迫るものがある。
所属するバイエルン・ミュンヘンでは、1999年の欧州チャンピオンズリーグ決勝でイングランドのマンチェスター・ユナイテッドと対戦。
1-0で迎えた終了寸前に2点を失って優勝を逃し、失意に打ちのめされた。
しかし、昨年の同リーグ決勝ではバレンシア(スペイン)とのPK戦では3本も止め、欧州一の座に上り詰めた。
代表では、前回と前々回のW杯とも代表に名を連ねたが出番なし。
正GKで臨んだ2000年欧州選手権は、屈辱の1次リーグ敗退を喫した。
今大会の活躍と3大会ぶりの4強進出は、まさに意地といえる。
「トップでいなければならない男にとっては、すべての失点は屈辱だ」という完ぺき主義者。
ライバルチームのファンが悔し紛れに「ゴリラ」のあだ名を広めたほど、対戦相手にとっては憎らしい存在である。
7歳のとき、元プロ選手だった父から74年W杯で西ドイツの優勝に貢献した名GKマイヤーの名を冠した用具一式を贈られ、GKを目指した。
25歳でカールスルーエから、そのマイヤー氏がコーチを務めるバイエルンに移籍し、指導を受けている。
マイヤー氏は現在、代表のGKコーチも務める。
師の目の前で黄金のトロフィー獲得を再現するまで、あと2勝だ。
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