06/29 17:13
韓国がアジアで初めてサッカーのワールドカップ(W杯)ベスト4に進んだことは、1997年の経済危機で国家破産寸前にまで追い込まれるなど「劣等感」にさいなまれてきた韓国人に、スポーツはもちろん文化、経済などあらゆる分野で「自信への転換」(金大中大統領)を一気にもたらした。
特に日韓共催のW杯という世界のひのき舞台で、植民地支配の過去を引きずり永遠のライバル視する日本をしのいだことで「日本を超えた」という心の余裕を生み、日韓が「普通の国」同士の関係を築く第一歩になるとの期待も出ている。
その半面で「自信」が「過信」となり、W杯成功に向けて培った「日韓協調への努力」が失われるのでは、との危ぐも消えない。
「韓国人の自信は怖いほどだ。
意外に秩序の取れた応援はすばらしかったけど、団結力が反米行動などマイナスに作用しなければいいが」とソウル駐在の米国人記者は少し不安げだ。
韓国メディアは今、韓国代表チームの健闘を「よくやった。
誇らしい」とたたえる段階を通り越し「世界が称賛」「アジアをつかんだ」「われわれにできないことは何もない」などと繰り返し伝え、有頂天の状態。
W杯の成果の強調にやっきの政府も同様だ。
新聞広告やテレビCMでも、競技場や市内を真っ赤に染めた応援風景や太極旗(国旗)をあしらったものがあふれ、大手デパートの新聞広告にでかでかと「大韓民国万歳」という宣伝文句が登場、W杯で「愛国心」をくすぐられた消費者の心理に訴えている。
情報技術(IT)分野で「世界をリード」という自負に加え、最近の韓国映画やポップスがアジアで人気を博し、W杯直前のカンヌ国際映画祭で「酔画仙」の林権澤監督が韓国人初の監督賞も受賞。
そこに降ってわいたような「奇跡」のW杯快進撃で、経済、文化を問わず「何でもできる」という心境に達してしまった。
世論調査機関の最近の調査では「W杯が愛国心を鼓舞した」と正面切って答えた人は全体の数%にすぎず、市民には「韓国を応援してくれた日本に好感が持てた」という声が多い。
しかし「W杯成功で韓国の国家イメージは日本を上回った。
韓国の時代が来る」と考える若者も現れている。
(ソウル共同)
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