06/29 19:22

【ソウル29日共同】「祝祭ムードがぶちこわしだ」と怒る韓国人サポーター。
韓国の応援に来た日本人観光客は「何だか怖い」と不安げ。
サッカーのワールドカップ(W杯)3位決定戦を迎えた韓国で29日、突然降ってわいた黄海での銃撃戦。
W杯によって南北の友好ムードも醸成されただけに、街頭観戦に繰り出した市民は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の行動に怒りと戸惑いを見せた。
W杯で北朝鮮との分散開催は実現しなかったが、韓国応援団は対イタリア戦のスタンドで「AGAIN1966」という人文字を披露した。
1966年のW杯で北朝鮮がイタリアを破りベスト8に進出したドラマの再現を願った。
朝鮮中央テレビが録画放送で韓国に好意的な解説をする「エールの交換」も見られ、応援団メンバーは「南北和解への願いが伝わったと喜んでいたのに」と戸惑いを隠さない。
この日の街頭応援は警察の推計で全国で約400万人。
ソウルの市庁前はこれまで同様、真っ赤に染まったが、年配者の姿はめっきり減った。
テレビ中継された市庁前のイベントでは、司会者が銃撃戦に「動揺しないで」と呼びかけ、冷めかけた熱気に冷や水を掛けるような事態に若者の表情もぱっとしない。
ソウルの男子大学生、朴洪九さん(24)は「どうして韓国の試合がある日に、挑発行為に出たのか理解できない。
裏切られた気持ちだ」と興奮した口調で怒りをぶちまけた。
W杯は昨年の米中枢同時テロ以降、最大規模のスポーツイベント。
テロ対策が最大の関心事となったが、南北首脳会談以後の緊張緩和の雰囲気の中、「北側のテロや軍事行動の可能性は低いと見ていたのにまさか」と警備当局者も驚く。
ただ「大会に直接的な影響はない」と不安の広がりを警戒、大会の成功を優先する考えを強調した。

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