06/29 23:21

欧州の強豪を苦しめてきた韓国の「12人目の選手」、スタンドを真っ赤に染めたサポーターは、友好的だった。
両チームの国旗が試合前から振られ、国歌演奏では大きなトルコ国旗が振られる。
6万人の観衆がまだ試合の興奮に入っていけないうち、一瞬の出来事だった。
トルコは試合開始のホイッスルと同時に素晴らしい集中力をみせた。
11秒、相手守備ラインでの横パスの乱れをイルハンが見逃さず、守備の要、洪明甫の足元のボールに突っかかる。
こぼれ球に反応したのは不調のエース、ハカンシュキュルだ。
過去6試合、何度となく決定機を逃した「ボスポラスの灯台」がW杯史上最速ゴールに、ほえる。
30歳の英雄は、代表初ゴールを決めた若者のように、チームメートにもみくちゃにされた。
足の付け根を痛め、精彩を欠いていた。
準々決勝のセネガル戦では、小学生でもしないようなゴール前のトラップミスで、決定機を逃す。
先発から外すべきだ、とのメディアの批判の中、過去35得点の貢献度を知るギュネシ監督の起用に、最後で応えた。
したたかなトルコらしさは、前半9分に同点とされた後も続く。
攻撃的な流れを加速させた韓国に対して、4分後、バストゥルクの縦突破から、イルハン-ハカンシュキュルと渡り、そしてイルハンに戻して勝ち越す。
32分にはGKの大きなキックから、再び前線の2人で3点目を奪い取った。
相手の守備意識の低下を見逃さなかった。
最後の最後に大きな責任を果たしたハカンシュキュルは、晴れやかな顔だった。
「いい試合もあったし、悪い試合もあった。
トルコ市民はわたしを支持し、仲間には悪いときも励まされた」と、周囲に感謝しながら、歴史的な勝利の喜びをかみしめた。
200万人ともいわれるトルコ移民が住む、ドイツでの4年後のW杯に、明るい展望も広がった。
決勝トーナメント1回戦で日本、そしてこの日の韓国と、いずれも敵地で共催国の2チームを破った。
試合終了の笛を聞くと、ハカンシュキュルは自ら韓国選手に駆け寄って、健闘をたたえた。
トルコの主将の優しいジェスチャーに、両国の選手が一緒に肩を組んでスタンドの声援に感謝した。
欧州の強豪にもまれ、力を伸ばしてきた新興国は、すがすがしく偉業を祝った。
(大邱、共同)
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