06/29 23:22
サッカー人生のさまざまな思いを込めたフリーキックだったろう。
前半9分、韓国のMF李乙容がけったボールは美しい弧を描いた。
カーブしながら約25メートル先のゴール右上へ飛び込んだ。
トルコの名手、GKリュシュトゥも触れることができなかった。
韓国ではサッカーで生きていくために、高校時代にいい成績を挙げ、大学へ進む必要がある。
しかし地方出身で、関係者の目に留まることはなく、断念せざるを得なかった。
一時はナイトクラブで働いていた。
競技生活への未練は残っていた。
そんなときに声を掛けてくれたのがアマチュアの韓国鉄道。
幸運にも、そこでの活躍がプロ入りにつながった。
左サイドのスペシャリストだ。
左足の正確なキックが持ち味。
このポジションの人材を探していたヒディンク監督の求めとぴったり合った。
1999年3月、初めて代表入りした。
1次リーグの米国戦ではPKを決められず、ヒディンク監督が「練習ではPKを外したことがないのに」と嘆いた。
この日は、そんな悔しさを晴らそうと、とにかく動いた。
後半20分に交代するまで、左サイドを気迫で駆けた。
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