06/30 23:41

「プレーして楽しんで、そして勝つ、1番になる。
これがブラジルだ」。
スコラリ監督は自信たっぷりに言った。
終わって見れば「王国」の圧倒的強さが際立っていた。
1次リーグから7戦全勝で、それもすべて90分間の勝利。
同監督は「歴史的な7つの勝利。
ハードワークを成し遂げた」と、もう一度胸を張った。
今大会のブラジルを支えたのは「3R」と呼ばれたロナウド、リバウド、ロナウジーニョの攻撃陣。
7試合で挙げた得点18のうち15点がこの3人。
ロナウドは8点という高いレベルで大会得点王となった。
相手が誰であっても3人の個人技と攻撃センスに頼ることが勝利への最短の道と信じていた。
スコラリ監督は決勝を前に「ドイツは冷静で勝つために何をすべきか知っている」と警戒を強めていた。
事実、ドイツは守備の局面では7人を割いた。
ハマンらが攻撃を仕掛けるロナウジーニョの出どころを抑え、ロナウドやリバウドにつながりそうなパスを読んでカット。
勤勉で組織だった守備で「3R」の自由な活動を制限した。
しかし、カナリア軍団に焦りはまったくなかった。
前半ロナウジーニョから2度ゴール前のロナウドにパスが通りいずれも決定的な場面になった。
前半からボール支配率は低いが、枠にいったシュートはドイツの0に対し4本。
そして後半22分、ついに風穴があいた。
リバウドがペナルティーエリア外から左足で強烈なシュート。
正面で受けたGKカーンが、あまりの球威にわずかに前にこぼしたところにロナウドが走り込んでゴールネットへ。
点を取りに来たドイツが守備を乱すと同34分にリバウドのスルーから、ロナウドが2点目。
後は、前線の3人以外を守りに充て、余裕の逃げ切り。
しばしば唯一の弱点といわれた守備についても「DF陣も世界一だ」。
監督はうっぷんを晴らすように付け加えた。
大会中、選手たちはよく「批判は気にしない」と言った。
日本人には分かりにくいが「美しく勝つ」ことが求められるブラジルではこのチームですら「3Rの個人技だけ」と批判される。
「スペクタクルより結果」と主張しつづけたスコラリ監督はブラジル国民に訴えた。
「楽しくサッカーをしてカップを持ち帰る。
このチームを忘れてはいけない」
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