06/30 23:46

ロナウドの後半22分の先取点。
今大会これまで1失点の守護神カーンが、5試合ぶりに許した失点だった。
勝利に徹底的にこだわり、そのスタイルを貫くよう命じてきたフェラー監督の緊張の糸は、その瞬間に切れてしまったようだった。
今大会、ドイツは先取点を奪われたことがなかった。
「ブラジルの1対1の強さ。
そして速く、強いパス回しに押され気味になっていた。
とにかく追いつくしかない」。
フェラー監督は動いた。
後半29分、初戦でのハットトリックでドイツに息吹を吹き込んだ新星クローゼを下げ、経験豊富なベテランのビアホフ、さらに32分には身体能力の高いドイツ初のアフリカ系代表選手アサモアと2人のFWを投入した。
「守り抜いてカウンター」の構図が崩れた。
優勝を決定付けたロナウドの2点目。
アンバランスになった守備のすきをこじ開けられ、突き放された。
一貫した信念を感じさせる前半だった。
ブラジルサポーターが強烈なブーイングを浴びせる中、GKカーンまで一度ボールを戻し、相手陣内深くにけり込む。
3バックに4人のMFが守備を固め、個人技に優れるブラジル攻撃陣を待ち受けてボールを奪い、速攻に持ち込む戦術を貫いていた。
決定的なチャンスはなかったが、ブラジルに精神的な重圧を与えていた。
個人技に、組織で対抗しようとしたドイツ。
しかし、「さえわたるブラジルの個人技についていけなかった。
王者に値するチームだった」と、フェラー監督は敗北を受け入れた。
欧州予選ではプレーオフの末に出場権を獲得した。
試合を重ねるごとに成長し、結束していったイレブン。
選手、監督の両方の立場での優勝はならなかったが、同監督は「幸せだった」と感謝した。
2006年は、地元ドイツでW杯が待っている。

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