07/03 16:08

サッカーのワールドカップ(W杯)で優勝したブラジル代表の主将カフー(32)が、再評価されている。
貧民区(ファベーラ)の出身であることを忘れず、苦労してプロとして成功。
地元紙は「ファベーラの住民の誇り」「貧しい子どものお手本」とたたえている。
カフーの出身地はサンパウロ市南西のカポンヘドンド地区ジャルジンイレーネ。
人口約20万人の同地区は殺人事件が年間186件(2000年)も起こり、犯罪組織がはびこり麻薬が横行している。
「君を愛してるよ、ヘジーナ」--。
決勝でドイツを破り、主将として黄金の優勝杯を手にしたカフーは妻の名を叫んだ。
そのユニホームには「ジャルジンイレーネ」と生まれ育った地名が書き込まれてあり、郷土の住民らを感激させた。
「今でこそローマで活躍しているが、プロのクラブの入団テストに12回も落ちたんだ」と父親のセリオ・ジモラエスさんは若い時の裏話を明かす。
「父はサッカーなんかやっていると将来はないと考え、子どものサッカー靴をよく隠したものだ」と兄のマウリシオさん(34)は振り返る。
赤れんがの掘っ立て小屋が並ぶ故郷にはいまだに、学校も保健所もない。
病院もなければ、ショッピングセンターや映画館もない。
そこで昨年末「カフー基金」を創設、ブラジルの有名サッカー選手の例にならい、スポーツ文化センターを作る準備を始めた。
サッカーから音楽、舞踊、絵画、パソコンまで子ども向け教室を開設する計画だ。
「弟は麻薬や暴力団に走らなかった最高の見本。
余暇の楽しみがあれば、犯罪防止に役立つのでは」とマウリシオさんは期待する。
これまでブラジル代表として歴代最高の通算115試合に出場、W杯決勝に3大会連続出場という前人未到の記録も達成したカフー。
「2006年にはペレのW杯3度優勝の記録に挑戦したい」と地元紙に夢を語っている。
(リオデジャネイロ共同)
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